この奇妙なサイトに来ていただいて、どうもありがとう。
他に類を見ない、という点だけには、ちょっとした自信があります。
これだけまとまったストーリーを作ったのは、私にとっては初めてのことです。
このサイト、当初、こんな大作にするつもりはありませんでした。
いつの間にか話が膨らんできて出来上がった、というのが実情なんです。
実際やってみてわかったのですが、創作の登場人物って、何らかの意味で“自分の分身”なんですね。
全ての登場人物に、自分の持つ一面が含まれている。
逆に言えば、自分の持っていない性質の人物は創ることができない。
私は全ての登場人物に愛着があるのですが、中でも特に愛着があるのは、何と言っても“凛”です!
凛の目線から語る、というスタイルが、このサイトを作るにあたって最大の発明でした。
“凛”、いいよ、“凛” ・・・
・・・えーと、話が逸れそうなので、戻します。
自分の持っていない性質の人物は創ることができない、その意味で最も苦労したのは、GやAです。
自分は到底、GやAにはなれません。
なので、
「まさか、Gがこんなこと言うか?」「Aだったら、それは無いだろう」
という声に、常に悩まされました。
私自身の立場は、むしろ凛や咲に近いものです。
もしGやAに出会えたとしたら、自分だったらどういう質問を出すだろうか・・
そのように考えて、数学夜話の対話はできあがりました。
さて、肝心の数学の内容についてです。
当初、私は群論というものに、あまり良いイメージを持っていなかったんです。
表現方法とか、形式ばかりにこだわっていて、実質的な内容が無いのではないかと・・・
群というものを知ったからといって、何か新しい、役に立つことができるのか?
ところが調べてゆくうちに、この懸念は間違っていることに気付かされました。
群は、間違いなく新しい視点をもたらします。
「どんなことでも、歴史的に最初に得た着想こそが、後から学ぶ者にとっても一番の要になる。」
Aに語らせたこのセリフが、群論にはぴたりとあてはまります。
今日、大学などで教えている群論は、Gの時代よりもずっと洗練された形になっていると思います。
私も当初は洗練された形の群論を学ぼうと思い、あえなく挫折しました。
もっと、高校生からでもわかるような、泥臭い群論入門は無いものか。
そうしたときに、原点である「五次方程式の謎を解く」アプローチは、最良の入り口なのではないかと感じました。
高校生からでもわかるような、泥臭い群論入門。
この目的がどの程度果たされたかは、分かりません。
なるほど良くわかった、全然わかんねー、などの感想いただければ、それを評価として受け止めたいと思います。
●いまさらですが、
Gは夭折の天才、エヴァリスト・ガロア(Evariste Galois)、
Aはこれまた早世の天才、ニールス・ヘンリック・アーベル(Niels Henrik Abel)、
のことですぞ。
●タイトル「Gの夢」は、知る人ぞ知る名著
ガロアの夢 ― 群論と微分方程式(久賀 道郎)
を意識したものです。
●えっ、どっかで聞いたことあるような名前ですって?
しかも2人も思い当たる・・・そっ、それは他人のそら似ってやつよ、きっと。
鏡坂 凛(カガミサカ リン)
鏡宮 士錬(カガミヤ シレン)
初桐 咲(ハツトウ サク)
わかる人にはピンとくる名前なんですけど・・・それは言わないお約束です。
●そういえば、ストーリー自体も、そこはかとなく似ているような気がするのですが・・・
それも言わないお約束です!
・・・ごめんなさい、放っておいてください。
○個人的には、このたまたま似ているキャラクターは大好きです!
■ 第1話
●248日かけて入念に準備した魔法陣。
248は E8の次元。
素粒子物理で E8の統一理論ってのがあったのですが、どうなったんでしょうね。。。
●午前1時53分
153 = 1! + 2! + 3! + 4! + 5! です。
また、153 = 1^3 + 5^3 + 3^3 となっています。
だからどうした、ということは特にないのですが。。。
●魔法の呪文
「―――零の単位はカーネルに、推移律は同型に。
数学用語をそれらしく適当に並べただけのものです。
意味とか、深くつっこんでも無駄ですから、あしからず。
■ 第2話
●ショルダーキーボード
最近はあまり見かけない楽器ですね。
確か、黄色い髪の某VOCALOIDが手にしている楽器だったような気がします。
●15の素因数分解
2001年12月にIBMアルマデン研究所にて7qubitの量子計算機で15(=3*5)の素因数分解に成功したことが発表された
(Nature,12月20日発行号)。
■ 第3話
●Gの性格は過激で破綻してますけど、
Aは謙虚で高潔な人格の持ち主だったようです。
■ 第4話
●「・・・あたしねー、中華料理とか得意なんだ。」
たまたまじゃないですかね、たまたま、偶然。
■ 第5話
●GF(2)
代数学において有限体(ゆうげんたい、finite field)は、有限個の元からなる体、
すなわち四則演算が定義され閉じている有限集合のことである。
主に計算機関連の分野においては、エヴァリスト・ガロアにちなんで
ガロア体あるいはガロア域(ガロアいき、Galois field)などとも呼ぶ。
-- Wikpedia 有限体より
●ポム
フランス語でリンゴは la pomme
●231584178474632390847141970017375815706539969331281128078915168015826259279871
メルセンヌ疑似素数 2^257 - 1
もともとメルセンヌが素数だと言っていた数なのだが、後に合成数であると判明した。
分解すると、いくつxいくつになるのか、私は知りません。。。
●ヒルベルト空間
Wikipediaによると --
完備な内積空間、すなわち、内積の定義されたベクトル空間であって、
その内積から導かれるノルム によって距離を入れるとき、
距離空間として完備となるような位相ベクトル空間のことである。
量子力学の数学的基礎づけに深く関連している。
■ 第6話
●組織
大規模な国際投機を行っているヘッジファンドをイメージしています。
●7時間29分後
729 = 9^3 = 3^6、3進数の 1,000,000
プラトンの「国家」に出てくる神秘数、だそうな。
だからどうした、ということは特にないのですが。。。
●ラブレターの内容
ShiftJIS文字コードを、'G'とXORをとってダンプしたものです。
「愛しの天才ハッカーへ、鑑みて知れ、鑑み下がって倫理を守れ。」
たいして意味無いのですが、鏡宮シレン、鏡坂リン、の名前がそこはかとなく入っています。
下の方の暗号は'A'とXORをとってます。
「すご腕ハッカーさんへ、盗聴って詐欺と同じだよ。」
初桐 咲の名前がそこはかとなく入っています。
■ 第7話
●「アジア通貨危機」を念頭に置きました。
Wikipediaによると --
アジア通貨危機(アジアつうかきき、the Asian Financial Crisis)とは
1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。
この現象は東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。
・・・
ヘッジファンドが通貨の空売りを仕掛け、買い支える事が出来ないアジア各国の通貨は
変動相場制を導入せざるを得ない状況に追い込まれ、通貨価格が急激に下落した。
・・・
日本では経済恐慌などの危機は発生しなかったが、深刻な経済的打撃を被った。
●プログラミングできる物質
私の勝手な創作です、あまり真に受けないでくださいね。
「量子コンピュータ π電子」でググると、いくつかそれっぽいものがHitします。
>> http://www.aist.go.jp/aist-idea/cgi-bin/detail_data2.cgi?kind=1&seq=4990&no=7
あまりにも怪しげなので、ストーリーの最後では消失して、2度と再現できなかったことにしています。
■ 第8話
●Factorize the following large number.
RSA-640 = 31074182404900437213507500358885679300373460228427275457
20161948823206440518081504556346829671723286782437916272
83803341547107310850191954852900733772482278352574238645
4014691736602477652346609
RSA-640 = 16347336458092538484431338838650908598417836700330923121
81110852389333100104508151212118167511579
× 19008712816648221131268515739354139754718967899685154936
66638539088027103802104498957191261465571
The computation took 5 months on 80 2.2 GHz AMD Opteron CPUs.
●次の数字を素因数分解せよ。
RSA-200 = 2799783391122132787082946763872260162107044678695542853756000992932612840010
7609345671052955360856061822351910951365788637105954482006576775098580557613
579098734950144178863178946295187237869221823983
RSA-200 = 3532461934402770121272604978198464368671197400197625023649303468776121253679
423200058547956528088349
× 7925869954478333033347085841480059687737975857364219960734330341455767872818
152135381409304740185467
The CPU time spent on finding these factors by a collection of parallel computers amounted
-- very approximately -- to the equivalent of 75 years work for a single 2.2 GHz Opteron-based computer.
>> RSA numbers
■ 第9話
●めぐりあい友
めぐりあい宇宙 -- ガンダムファンなら響くかも。
●HAL研
アルファベットを一文字ずつ後にずらすと・・・
■ 第10話
●黒い月の日
ブラックマンデーをイメージ。
●5040件
5040 = 7!
だからどうした、ということは特にないのですが。。。
●その施設は、ニューメキシコの砂漠の中
複雑系の本拠地、サンタフェ研をイメージ。
●マイヤーとロナルド
ノーベル経済学賞受賞者が参加したヘッジファンドが破綻したという事実は、
この業界にかなりのインパクトを与えました。
ストーリー中ではひどい扱いを受けてますが、この人たちに個人的な恨みはありません。
ホントはすごい天才たちなんですよ。
●人類に贈る、最高のプレゼント
なんなんでしょうね、これは。私にもさっぱり・・・
>> 数理物理と代数幾何学 -- 24次元の不思議を探る
■ 第11話
●「ガロアの生涯 ― 神々の愛でし人」という本のダイジェストです。
基本的に史実に基づいていますが、一部ドラマチックに脚色した部分もあります。
■ 第12話
●これが私の持つ、群のイメージ。
つまるところ、これが描きたかった。
■ 第13話
●「オーギュスト・シュヴァリエへの手紙」
これは泣けます。
制作開始時にあたって用意した、最初のプロット・メモを公開します。
メモには 目標 : 日本一わかりやすいガロア理論を! と書いてあるぞ、うーむ。。。
・お話の原案: >> ストーリー・メモ
・数学の原案: >> アイデア・メモ
F○te という素晴らしい作品を世に出してくれた方々、ありがとう、そして、ごめんなさい。
凛とアー○ャーという、魅力あるキャラクターがいなければ、このサイトを作ることはありませんでした。
VOCALOIDという楽しいツールを世に出してくれた方々、どうもありがとう。
私はいまでも、楽しく使っています。
参考文献に上がっている本や、サイトを作ってくれた方々、
あるいは参考文献には挙がっていないけれど、関連資料を作ってくれた方々、どうもありがとう。
私の持つ知識は、全てこれらから吸収したものです。
原稿のミスを指摘してくれたKさん、どうもありがとう。
訂正した箇所は、本質に関わる部分でした。
このサイトを作るには、実はかなりの時間を要しています。
その間、文句を言わず、なま暖かく見守ってくれた人たちに感謝します。
最後に、ここまで読んでくれた読者の方、どうもありがとうございました。