Gの夢
はじめに
2009/09/01  
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  5次方程式は、解くことができない
そんなお話を、どこかで耳にしたことはありますか?
あるいは
 「群論」
という名の、何やら難しい理論があって、それが現代科学の基礎を担っている・・・
そんなお話を聞いたことはないでしょうか。
 ・なぜ、5次方程式は代数的に解くことができないのか。
 ・群とは何か。
これらを、できるだけワクワクする形で、分かりやすく伝えるために、このコンテンツは作られました。

中学校では、2次方程式の解の公式、というものを教わります。
そんな公式、何の役に立つのだろうと疑いつつ、一夜漬けしてすっかり忘れてしまったという大人たちも多いことでしょう。
それでも、方程式を解くための公式があったな、ということくらいは、きっと覚えているのではないかと思います。
代数方程式には、1次方程式があり、2次方程式があります。
学校ではあまり教わらないのですが、その上の、3次方程式、4次方程式についても解くための公式があります。
ところが、5次方程式については、解くための公式がありません。
それは未発見なのではなくて、“公式を作るのは不可能”なのです。※
なぜ不可能なのか?
その問いに答えるのが、このコンテンツの最終目標です。

5次方程式が代数的に解けないことがはっきりと分かったのは、19世紀前半のことです。
それまで、2次方程式、3次方程式、4次方程式と、だんだんに難しい方程式にチャレンジしてきた代数学は、
5次方程式で1つの終焉を迎えます。
それでは、代数学という学問は、5次方程式でおしまいなのでしょうか。
いえいえ、そんなことはありません。
確かに、5次方程式は「代数的に解く」という方法の終焉だったのですが、
同時に、それは全く新しい現代数学の幕開けでもあったのです。
代数学は、5次方程式を境に、新たに生まれ変わったと言っても良いでしょう。

それでは、生まれ変わった新しい代数学とはどのようなものでしょうか。
5次方程式をきっかけとして、数学者は「方程式の背後に潜む、見えない形」に目を向け始めました。
やがて、新しい代数学は1つの大きな潮流となって、数学を始め、物理や、他の様々な自然科学に応用されてゆきます。
それが、今日「群論」と呼ばれているものです。

率直に言って、群論は決して易しくはありません。
まともに勉強するのは、数学科の大学生くらいのものでしょう。
しかし、群が現代科学の基礎であることは否み難い事実です。
専門家でない一般の方であっても、その概要を知ることには十分な価値があると思います。

もう1つ、群論に接した人たちが、異口同音に漏らす言葉があります。
それは、「群は美しい」ということなのです。
これは、私自身の感想でもあります。
できれば、この群の持つ美しさを多くの人に知ってもらいたい。
それが、このコンテンツのもう1つの大きな目標です。

もとより、私は群論の専門家でもなければ、数学者でもありません。
群論について、厳密に正確な知識を伝えるのは、私にできることではありません。
このコンテンツは、一介の素人が苦労して群論を読み取った記録です。
もしこのコンテンツに価値があるとすれば、素人の目線から見たが故に、
一般の方にとって馴染みやすいということでしょう。

読者の皆様に、多少なりとも群の美しさを知ってもらい、
現代数学の世界に幾らかの興味を抱いていただければ、
作者としてこれに勝る喜びはありません。

※ 五次方程式の公式は、「代数的に」作ることは不可能です。
※ しかし「代数的」ではない方法、楕円関数や超幾何関数などの超越的な方法によってなら、解の公式を作ることができます。
※ 「解くことができない」という言葉の裏には、必ず「どのような方法によって」という条件が含まれています。
※ 「代数的」とは何であるかについては、本文をご覧ください。
  

・このコンテンツは、物語仕立てで方程式からガロア理論に至るまでを解説します。

・読者として、大学初年度くらいの方、あるいは一般の社会人の方を想定しました。
 二次方程式がわかる程度の予備知識があれば、読み通すことができます。
 がんばれば高校生でも読めると思います。
 方程式の話なので、数式も出てきます。

・各章は導入部の「ストーリーパート」と、解説である「数学夜話」から成っています。
 「数学夜話」がメインコンテンツ。こちらは登場人物の会話形式になっています。

・ストーリーパートは、数学の解説内容にはほとんど影響ありません。
 かったるければ、読み飛ばしてください。

・反対に、どうも数式は苦手だな・・・という方は、まずはストーリーだけを追ってみてください。
 その後で、数学夜話の図と式を、ちょっとだけ眺めてみてください。
 きっと方程式の持つ「見えない形」が、なんとなしに見えてくることでしょう。

・いわゆる数学の、定義、定理、証明といったスタイルではありません。
 厳密な理論を学びたい、という期待には応えられません。
 興味のある方は、参考文献に載っている書籍などをひもとくと良いかと思います。

★ F○te という素晴らしい作品を世に出してくれた方々、ありがとう、そして、ごめんなさい _(・・)_
凜とアー○ャーという、魅力あるキャラクターがいなければ、このサイトを作ることはありませんでした。

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